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青い空の下で

四章

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 君は公園に一人立ち尽くしていた。
 宗一は言いたい事を言い終わるとそのまま立ち去っていった。
 結局彼は具体的な事は何も語らなかった。なぜ原稿を手渡されたのか。君という存在があの集団にとってどんな意味を持つのか。そして何を期待されているのか。そういった疑問は残されたままだ。
 君は追いかける気にもならなかった。捕まえても有益な事は聞き出せないだろう。彼はフレンドリーに話し掛けてきたが、ほとんど一方的に喋っていただけだ。具体的な事は何もなく、実際には何も言っていないに等しかった。彼の態度はある意味君との会話を拒絶している様に思えた。

 君は手記を取り出し、読み出した。今ここで有力な情報源はこれしかないからだ。なぜこのような形で送られてくるのか解らない。それに手記自体にも事実が書かれていないかも知れないという疑念はある。それでもこの手記は、何が起こっているのか、君に何を求めているのか知る手助けになる。

                         *

 彼等のやっている事は錬金術とは程遠いものだ。戸田は自分の研究結果をスクリーンを通じて信者達に発表している。ほとんどは録画したビデオを流すだけだが、時々ライブ放送もやっている。実験はすべて失敗に終わっており、彼はそれを隠そうともしていない。
ただ、失敗の記録を延々と流しているだけだ。
 信者達もそれを何一つ言わず、その記録を熱心に見つめている。リアルタイムではないが実験に立ち会う事が修行の一環なのだ。信者達はその言葉を信じ、ひたすらスクリーンに映る失敗の記録を目に焼き付けている。

 私はその場面を何度か見ていた。スクリーンの中のフラスコや蒸留器が音を立てている様を見たのだ。実験は何時も失敗だったが、それに不平を言う者はいなかった。

 戸田宗一がなぜこんな事をやっているのか見当は付く。おそらく研究資金を調達するためだ。現代では金を作り出すという話しに乗ってくる者はいない。中世ならパトロンが現れたかも知れないが、今では誰も信じないだろう。だから錬金術の神秘主義的、思想的な部分を強調し、宗教として売り込んだのだ。そして布教を行い、信者を集め、彼等から資金を集めている。
 しかし、それはもう錬金術と言えるのか。

「そんな事が言えるほど錬金術に詳しいのですか?」
 挑発するような口調のノイズ混じりの男の声が聞こえた。
 私は声のする方を見た。
 そこにあるのは古い小さなテレビだけだ。電源コードも付いていない映るはずのないテレビだ。それが画面上に砂嵐を映し出し、ノイズ音をまき散らしている。
 さっきまではノイズ音の中から人の声らしき音が聞こえるだけだったが、それが明瞭な言葉となってきている。
「あなたにそんな事言える資格があるのかねぇ?」
 バラエティー番組のように笑い声のSE が広がっていった。
 私に何を言わせたいのか解っている。錬金術の解説をさせたいのだ。司会者として話しを先に進めて行きたいのがはっきりと感じられる。

 私は目をつむり、一呼吸置いて説明を始めた。
「錬金術の起源については何も解らない。ただ、有史以前から世界中で伝えられていたのは間違いない」私は空を見上げた。
「物質から混じった物を取り出して純粋な物質へと近づけていく。その過程において、その行為を行う人間も純粋化しなくてはならない。それが更に物質の純粋化を高めるのに必要な条件だからだ。人格。忍耐強さ。作業を行う人間にはその資質を問われる。そうして延々と作業を行い、鍛練を積んでいく。それらは全て純粋なる物を手に入れ、『真理』へと到達する為に必要な事だ。そしてこれらは聖職者達によって神聖な技術として長期に渡り受け継がれ、口伝や寓意的なシンボルによって伝えられてきていた。」

「全ての物には第一原因が働いているというのが根本的にある思想だ。錬金術においては第一原因という一つのものが多様な形をとり、世界を形づくっていると考えられている。その唯一なる物は『世界霊魂』と呼ばれている存在で、世界の全てを解明するためにそれを手に入れようとしている。これは世界に溢れる多様な物を一つの物で説明しようとしている事だ。」

「過去にあったはずの知識が失われ、断片化してしまったのを再び取り戻そうとする思想がそこにある。現在よりも優れた知識や力が過去には存在し栄華を誇っていたが、それが今では失われてしまい苦難を強いられていると言うのが共通の認識だ。失われた知識を取り戻す。それが錬金術の目的であると言っても良い。伝承でもアダムがエデンの園から出ていく時、再びエデンへと帰る方法だと天使から教えられたと伝えられている。」

「なぜ金の錬成や不老長寿の探求が失われた真理の獲得になるのか疑問に思うかも知れない。卑金属を貴金属である金へと変えるというのはどういう事か。金は自然界の中で最も安定した物質だ。ほとんど錆びる事が無く、他の物質から影響を受ける事もない完全に近い物質だ。つまり不完全な鉄や銅を完全な金へと変成させるのは、今の不完全な世界を失われた完全な世界へと戻す術を探し出す事なのだ。」

「それを可能とする物が世界霊魂だ。全ての始まりにして究極の物質である世界霊魂を使えば物質の変成を行える。錬金術師達は天上界と地上とは対応した関係にあると信じている。つまり人と言うミクロコスモスを進化させれば、天というマクロコスモスも進化すると言う。こうして世界を完全な存在に変成できる」

 私はそこで言葉を止めた。そしてテレビを見た。
 さっきまで鳴り響いていたノイズ音はほとんど無い。画面には折りたたみテーブルに手を乗せパイプ椅子に座った紺色のスーツにネクタイを締めた男が映っている。画面は45度ほど右に傾いており、カメラが近いからか首から上が見切れている。その所為でどんな顔なのか判らない。
「それで終わりですか?」とテレビから声がした。「まだ説明すべき事があるのではないですか?」
 私はこれ以上説明役に甘んじる気はない。
「必要な事は説明したはずだ」
「そうですか?」嗤い声がした。「まだ説明する必要のある事は残っていますよ。それにあなたの知らない情報もあります」
 私はこの言葉の意図する所を見極めようと考えを巡らせた。
 錬金術に関する事ではないだろう。必要と思われる要点は話したはずだ。ならば五年前の事件についてか、あの集団に関する事だろう。
「あんたの方が私より詳しいみたいだね。ここはあんたが説明した方が良いんじゃないかな」と私は言った。

 少しの間公園は沈黙に包まれた。私はベンチの上で身構え、返答をを待った。
「五年前の事ですけど、あなたは何をしたんですか? 被害者は後藤惣一だと警察に情報提供しましたか? それとも自分で調べたのですか? あなたはただ傍観していただけですよね。なぜ何もしなかったんですか?」
 私は黙ってテレビから流れる声を聞いた。
「あなたも解っていると思いますが、後藤惣一は完全な第三者ではではありませんね。彼があのアパートのあの部屋に住んでいたとすれば、硫酸の入った薬品瓶に気づかないはずがない。実際に瓶には彼の指紋が付いていたのですから知っていたのは間違いありません。薬品の瓶と近くで起きていた通り魔の事件とを結びつけて考えるのは当然でしょう」
 そうだ。私が何もしなかった理由がそれだ。
「つまり後藤惣一は一連の事件と無関係ではないのです」
 テレビからの声はそう言い切った。

「それで?」私は話しの続きを促した。
「あなたも無関係ではありませんよ。彼等が言っている世界を滅ぼす『青い毒』と言うのは、あなたが言い始めた言葉ではないですか。」
 『青い毒』か。この言葉に深い意味はない。何と無しに空を見上げた時、ふと思いついた言葉だ。空は青かった。そしてどこまでも広がっていた。だがその時は青い空が途方もない質量を持って地上を押しつぶそうとしているように感じた。なぜそう感じたのか。言いようもない不安か。どこから来るのか判らない焦燥感か。理由は判じ得ないが覆い被さる空が世界をおしつぶし、蝕んでいく感覚は魅惑的に思えた。

 そうだ。世界の崩壊は実に魅惑的だ。世界を蝕み、変成させる。その為の『青い毒』だ。私はそう形容したのだ。
 私はその思いつきを惣一に話した。彼は興味を引かれなかったらしく、何も言わず私の話を聞いていた。そして会話は別の話題へと変わっていった。それから『青い毒』と言う言葉を出す事は無かった。無論、他の誰かにも話してはいない。その言葉は私だけの物だったはずだ。

 だが、その言葉を使っている者たちがいる。ただの思いつきに過ぎない私の個人的な言葉を、普遍的な真実として信じている集団がある。これは偶然なのか。人の考える事等どれも似たり寄ったりした物でしかないという事か。
 惣一が戸田兄弟に『青い毒』について話したとすればこの『偶然』を説明するのは容易い。彼等はどのような関係だったのか今の私には解らない。しかし、惣一は何も知らない只の被害者ではないのは明らかだろう。まず、その可能性をを受け入れる必要がある。

 私がこの町に来たのは偶然だ。そして目と鼻の先に戸田兄弟の率いる集団の集会場が有ったのも偶然だ。この公園は公共の場ではなく、私有地だ。何も好きこのんで公園に寝泊まりしている訳ではない。
 本来この公園と前にある家は一つの物件で、両方とも私が譲り受けたのだ。今は戸田兄弟達が集会所として使っているが、持ち主である私の許可を得てはいない。無断で使用している訳だ。
 もっとも、彼等も集会所の所有者が私だとは知らないだろう。前の所有者と彼等との間で何か取り決めがあったかも知れないが、持ち主が変わった事は伝えられなかったようだ。それは実に好都合な手違いだった。

 初めは家を無断で占拠している集団の存在を知った時、問答無用で追い出すつもりだった。だが、その集団について情報を集めているうち、その集団に戸田が関わっている事が判った。
 その時、彼等を監視する必要があると感じた。だからこの公園に閉じこもる事にした。彼等は公園には目を向けようともしない。まるで存在しないかのように振る舞っている。振りではない。無意識的に公園へと意識を向ける事を拒絶している。ここに居る限り彼等には絶対に気づかれない。
 私にとっては彼等を監視するのは簡単な事だった。あの家――集会所で彼等のやっている事は全て筒抜けだった。行動も会話も手に取るように知る事が出来た。そして家の鍵も持っていた。何時でも家の中に入って行けた。監視するのは容易い事だった。

 最初は宗一一人だった。彼が集団に潜り込み、乗っ取った。そして二人一役を実行する事で宗司の存在を隠していた。
 しかし、しばらくして宗司が姿を現した。
 殺されたはずの宗司が生きてこの町にいると言うのだ。そして集団の中で高い地位を持っている。宗司が生きている事に誰もおかしいと思っていなかった。彼が殺されたというニュースは全国に流されたはずだ。事件の異常性が世間の興味を引いたからか、その情報は何度も繰り返し放送されていた。宗司の名前も顔写真も誰もが知っていたはずだ。
 だが集団に属する者達の間ではそんな事は無かった様になっている様だ。誰もが彼の存在を受け入れていた。

 そして私も宗司を見た。直接面と向かって出会ってはいない。見つからないよう窓越しに彼の姿を見た。その人物は確かに戸田宗司だった。顔はテレビや週刊誌で流された写真と同じだった。
 ならば殺されたのは誰なのか。考えられるのはそう多くない。もしかしたら殺されたのは後藤惣一ではないか。彼を身代わりとして殺したのではないか。
 宗司と宗一はよく似ている。身長も体格も惣一と変わりない。それに顔も兄弟と言っても通用するぐらいにそっくりだ。入れ替わるのも難しい事では無いのではないか。

 あの夜の出来事ははっきりと憶えている。まだ宗司の存在を隠していた頃の出来事だ。 集会が終わり、信者達が帰って行った後も明かりが点いていた。いつもなら解散後にはすぐに誰もいなくなるはずだ。まだ誰か残っているのか。私は慎重に家の裏へと向かい、家の中に神経を集中させた。そこは家の奥の左角にある小部屋だ。そこだけは壁を取り払われず、部屋としての体裁を保っている。
 二人の男が誰にも聞かれないように声を抑えて話し合っていた。だが、薄い壁を通して二人の会話を聞き取るのは可能だった。

『ここまでは順調に行ったな』と一人が言った。
『あれだけやって何も無いんじゃ話にならない』もう一人が返した。
『まだ油断は出来ないが、一応計画通りに進んでいるだろう?』
『絵計画通り?』不機嫌な声だ。『行って無いじゃないか! けりが付いてない!』
『だから油断はできないと言ったんだ。俺にも何であいつの名前が出ないのか解らんよ。』そしてなだめるような声で言った。『少なくとも俺達は疑われて無い様だし、奴らを集めるのも上手くいった。全てが完璧に行く事はないんだ。”今”はね』
『今は……か。そうだな』
『とにかく、計画は上手く進んでいる。賢者の石を手に入れるのももうすぐだ』
『ああ、その為に人殺しまでしたんだからな』
その言葉に嫌悪感を露わにした声が返ってきた。
『“人殺し”ではない。大いなる作業に必要な神聖な行為だ。確かの俺は惣一を殺した。だがそれは“人殺し”等ではない。純粋に全人類の悲願を叶える為の崇高な作業なんだ。そんな卑俗な行為と一緒にしないでくれ』
『わかってるよ。何度も聞かされたからな。だけど本当に大丈夫なんだろうか』
『あれから五年も経ってる。その間警察は影も見せていないからな。大丈夫だろう』
『そうかな』
『そうだ』
『いいや、やっぱりおかしい。ここまで何も連絡がないのはどう考えてもおかしい。証拠だって残してきたんだぞ。なのに何であいつの名前が出てこないんだ? どこかに俺達の知らないおかしな所が有るんだ』抑えてはいるが声は荒い。
『大丈夫だと言っているだろう。確かにどこか間違いがあったかも知れないが、世間ではお前が――戸田宗司が死んだ事になっている。それは間違いないんだ。警察もそれを疑ってないだろう? そうである以上何も問題はない』
『……』沈黙だけがあった。
『お前は復活するんだ。何も恐れる事はない』その声は力強かった。

 話はそれで終わった。ドアを開ける音がし、部屋から出ていく様な足音が聞こえた。そして窓から漏れ出ていた明かりが消えた。しばらくして玄関から出ていく音がした。それからは集会場の中から何の音も聞こえなかった。
 その次の日、宗司は皆の前に姿を現した。誰もがその『復活』を当然の事として受け入れていった。そして錬金術による実験の成功例として彼等の行動の正当性を保証する存在になった。

 私は考えを廻らせた。二人が交わした会話からどんな事がわかるのか。
 一人は確かに惣一を殺したと言った。もう一人は“あれから五年も経ってる”と言っていた。これらから辿り着ける事は最早疑惑という枠から外れているだろう。
 五年前の事件の被害者は後藤惣一だ。アパートの部屋を宗司の名で借り、惣一をその部屋に住まわせた。そして惣一を殺し、その死体を宗司の死体だと偽った。これで殺されたのは宗司だと言う事となり、世間からいなくなった者として扱われる。

 なぜそんな事をしなければいけないのか解らない。自分の存在を世間から消し去る理由は何なのか解らない。公園に閉じこもり、集会場で中を盗み聞きをしていても知る事が出来るのものには限界がある。私一人では無理だろう。
 誰かに応援を頼んだらどうか。こうした事件を調べるのに長けた人に調査を依頼するのはどうだろう。そんな人が居ればこの状況に決着を付けてくれるのではないか。

「あなたも無関係ではないのですよ」
 その声に私は『今』に引き戻された。
「だから決着を付けるのはあなた自身しかいないんですよ」
 それは解っている。だが、五年前の事件については私には荷が重すぎる。そして、今起きている異変に対抗する手段はない。
 私はテレビを見る。座っているベンチの前、公園の真ん中に置いてある古いブラウン管のテレビを見る。それには電源コードもアンテナも付いていない。何も映るはずのないテレビだ。しかし折り畳みテーブルとパイプ椅子に座っているネクタイを締め紺のスーツを着た男を映し出している。まだ顔はわからない。首から上の部分は映っていない。さっきは45度ほど傾いていたが、今では水平に近くなっている。
「昔の事を思い悩むより、今これから起こる事を心配するべきだと思いますね」嗤いを含んだ声で言った。「もう遅い様ですが」
「そうだな。もう遅いのだろう。出来る事は何も無い。これは私の責任だ。もっと早く動けば良かったんだ」
 私は諦めた様な口調で言った。そして顔を両手で覆い、力なく項垂れた。
「全部終わったんだ。もう何もする事はない」
 そう言って黙り込んだ。
「ここで諦めるんですか? 早過ぎや有りませんか」
 テレビは挑発的な声で囃し立てた。
 私は沈黙で返した。
「このままじゃ今までの苦労も水の泡ですよ。それでも良いんですか?」
 更に囃し立てた。
 私の沈黙は続いた。
「それで良いんですか?」呆れた声で言った。「あなたには失望しました」
 私にとってこれから起きる事はどうしようもないのだ。止める事も救う事も出来ない。彼等の作り上げた世界が現実に押しつぶされるだけだ。それは確実に起きる。
 私がやって来た事も彼等の世界を壊そうとしているのに違いはない。放って置いても結果は変わらないだろう。
 『青い毒』に関しても私の思い付きを勝手に取り出して重要なものであるかの様に唱導していったのだ。私に関係があると言うのは言い掛かりでしかない。
 しかし私は今この町にいる。そしてここは彼等の世界だ。この世界が壊れるなら私も同じ運命を辿るだろう。それを止める方法は無い。しかし、逃れる方法ならば……。
「あんたは私に何をさせたいんだ?」
 私は出来る限り疲れている様な声で聞いた。泣き落としが通用するとも思えないが今はそれしか思いつかなかった。
「そんなの決まっているじゃないですか。書くんですよ。この世界を書き記すんです」
 彼は『書き記す者』を必要としている。それは私以外には誰もいない。私が書く事を拒否すれば、物語の司会者である彼の存在意義が失われる。主導権は私にある。
「この世界? 私が書けるのはこの公園の中と五年前の事件に関する事だけだ。もうあの事件の事は何度か書いた。まだ足りないのか? 後、何回書けばいいんだ?」
 私は声を荒げて言った。書く事を拒否した場合彼はどう出るのか。
「昔の事はもう充分でしょう。それよりこれから起きる事を書いて下さい」
「それは公園から出ろという意味なのか?」
「いえ、公園の外はこのテレビに映ります。それを書き記して下さい」
 全てを仕切るつもりなのか。
「公園から出るかどうかはあなた次第です。ここが一番安全なんですよ。あなたも知っているでしょう。ここは彼等の世界の外なんです」
 やはりそうか。ここは世界の外なのだ。そうなら確かにここは最も安全な場所だ。公園内にいれば世界の崩壊から逃れる事が出来る。
 私はテレビを見つめ直した。ブラウン管の画面には男の顔が映っていた。
 彼は黒い袋を被っていた。それは麻袋の様だ。丁度頭が隠せるぐらいの大きさで、首の所で紐を使って止めてあった。
 その袋には顔の部分に白く丸い円の形をした図案が描いてあった。
 自分の尻尾をくわえている蛇の絵だ。
 ウロボロスの蛇だ。
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まとめteみた.【四章】

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